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辛い人

written by 剛久




「わさびは?」
「見るのも嫌です」
「からしは?」
「名前を聞くのも嫌です」
「タバスコは?」
「人類の敵です」


「人類の敵って…それはさすがに言い過ぎだろ」

少し困ったような、呆れたような感じで祐一は言う。

「ですけど、嫌なものは嫌なんです」

こっちも、困ったような、恥ずかしいような感じで栞は言う。


「まったく…。 タバスコなんて、たったの2140スコビルじゃないか」
「…はい?」

慣れない言葉を言われ、栞は思わず訊き返す。

「タバスコなんてな、俺たちにとっては別に辛くも何ともないぞ。 タバスコ程度のカプサイシンじゃエンドルフィンはもうほとんど分泌されないからな」
「あの…祐一さん?」
「俺が良く使うのは、INSANITY SAUSE――精神錯乱ソースってやつだ。 
これは51000スコビルで、調味料に使うには丁度いいな」

次々と言葉を繋ぐ祐一。
栞はだんだん恐くなってきた。
精神錯乱ソースって。

「もっと辛いのだと、Blair氏のシリーズとか有名だな。 ウチにある『Blair's am 3』ってのは、なんと200万スコビルだ。 タバスコの900倍以上の辛さだぞ。 さすがに俺も試したことはないけど」

もうやめて――。
そう叫びたくなった。
そんな辛い物なんて知りたくもない。

「そういえば、この間『メガデス』とかいうソースが発売されたみたいだな。 550万スコビルの『Blair's pm 5』よりも辛いらしいぞ。 このくらいの辛さだと、2、3滴舐めただけでも死ぬかもしれないなー、普通の人だと」

もはや栞の想像の域を完全に凌駕してしまっている。
辛いソースで人が死ぬのか。
2,3滴で。
普通の人は。

「ま、さすがにそこまで辛いのはな。 多少興味はあるけど。 そうだ栞、今度見に来るか?『Blair's am 3』。 いや、栞だったら見ただけでも倒れるかもしれな――」
「そ、そんな…」
「ん?」
「そんな辛い人、嫌いですっ!!」

栞、脱兎の如く。



- Fin -

参考、世界一激辛ソース屋


update:03/04/20
last update:'07/08/21 06:42:43
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